ビジョントレーニングで前頭前野を鍛えよう
ビジョントレーニングっていう言葉を聞いて、ずっと視力を鍛えるものだと思っていました。私はずっと目が良かったので、その分野はあまり興味はなかったのですが、最近老眼が一気に進んできて不便なので、何とか回復させる方法はないかと思って調べ始めたところ、実はビジョントレーニングとは視力ではなく、視覚を鍛えるものだということを知ったのです。
ビジョントレーニングとは
眼は映像を受け取って、その情報を脳に伝えています。脳がその受け取った情報を認知する力が視覚(ビジョン)です。視力がよくても眼の機能を上手く使えているとは限りません。視機能が上手く使えているかどうかをオプトメトリストと呼ばれる専門家が診断して、眼の働きを上手くいくように改善していくトレーニングがビジョントレーニングです。
アメリカ第36代大統領のジョンソン氏(任期 1963年~1969年)の次女のルシーさんは知能指数も低くはなかったのですが、なかなか成績が上がりませんでした。視力もよかったので気づかれませんでしたが、見たものの意味を理解する視覚に問題があることが分かりました。その後ビジョントレーニングを続けたところ成績がぐんぐん上がっていったそうです。
学習障害と言われる子たちには眼の働きに問題があることがよくあり、ビジョンを改善することによって学習能力の向上が見られるようになった例も多くあります。
近年このような両眼のはたらきに問題がある子たちが増えてきているそうです。
なぜ視覚に問題のある眼が増えてきたのか
考えられる原因としてまず思い浮かぶのはスマホを見る時間、ゲームをする時間が増えていることです。
あとは現代社会のストレスや緊張が自律神経に影響し、ピントを合わせる機能をする毛様体筋は自律神経に支配をうけるので、毛様体筋も柔らかさを失って、なめらかに作動しなくなったりするのも原因になると考えられます。
脳トレで有名な川島隆太教授が平成25年に仙台市2万2390名の中学生に行った調査ではスマホを使う時間が長いほど成績が低くなる、という結果が出ています。スマホを見て勉強する時間がなくなったからではなく、2時間以上勉強したとしも、ほとんど勉強せず、スマホも使わない、という生徒よりも成績が悪く、スマホを3時間以上使う子は勉強の効果が消えてしまう、というのです。
前頭前野と視覚の関係
眼球運動は前頭前野と関係があって、サルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されます。
前頭前野は運動によっても発達します。最近キレル子どもが増えているのは体を動かさずに遊ぶ子供が増えて、感情や衝動を抑制する機能を持つ前頭前野が十分に発達しなかったのではないかと言われています。
視覚の機能とトレーニング方法
眼が持つ視機能というのは基本次の3つです。
①眼球の運動コントロール(見たいものを追いかける)
②両眼のチームワーク(立体的にものをとらえる)
③焦点合わせ機能(見るものを背景から際立たせる)
この機能に問題があると、本を読んでいるときに文字や行を飛ばしたり、読解力も低く、本を読むのが嫌いになったり、文章問題や図形問題が苦手だったり、球技が苦手だったりします。その結果勉強嫌いや集中力のなさにもつながります。
ビジョントレーニングによって視機能を改善し、脳の機能も発達させ、これらの苦手が克服されることが期待できます。
では実際のトレーニング方法とはどんなものなのでしょうか。
私が今回参考にさせてもらったのは「勉強嫌い、集中力のなさは『眼』が原因だった」
(著者 :内藤貴雄)という本なのですが、
勉強嫌い、集中力のなさは「眼」が原因だった―アメリカで開発された脳力活性プログラム
- 作者: 内藤貴雄
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2002/10
- メディア: 単行本
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この本のトレーニングでは
①眼の運動能力を高めるトレーニング
②目と体の動きの統合を高めるトレーニング
③目と手の協調性を高めるトレーニング
④イメージ力を高めるトレーニング
のやり方が載っていました。②~④は→、←、↑、↓などの矢印を見ながらその反対向きに手を上げる等、眼というよりも脳の判断力を鍛えるボケ防止にもなりそうなトレーニングでした。
他にもビジョントレーニングについて書かれた書籍は沢山あり、学習障害改善、子供の集中力アップの面からも期待が高まります。
最近は療育機関や放課後教室、学校の朝の会などで、ビジョントレーニングを取り入れるところも多いようです。
おわりに
ビジョントレーニングは続けないと効果が出ず、親子でトレーニングの時間を設けて続けていくのは子どもが退屈するので、幼稚園や学校などでなるべくゲーム性を取り入れてやってもらえればいいなと思いました。
昔は外で体を動かして遊ぶことで、自然とビジョントレーニングができていたのだと思います。例えばお手玉やけん玉などは眼球運動、眼と体・手の動きの協調性も要求される高度な遊びなので、遊んでいるうちに統合感覚が身につきます。
うちは小学1年から小さい画面を見て遊ぶゲームを与えてしまったのは失敗だった、と後悔しています。責任をとってゲームメーカーさんも今後はビジョントレーニングになるような体を動かして遊べるものを作っていただきたいです。
おまけ
と、思ったらナムコさんから「トンデミ」っていう遊び場が出来ているんですね。
少し料金が高いかなとは思いますが、とっても楽しそうです。地方のショッピングモールのゲーセンもこちらに変えていってほしいです。